「未来工業」創業者である山田さんが亡くなりました。

以前、ニュースレターで未来工業について書いたことがありましたので、

ご紹介させていただきます。

ご冥福をお祈り申し上げます。



テレビ東京のカンブリア宮殿で未来工業という会社を紹介していました。

廊下の電気を消して、コピーの裏紙を使うケチケチ大作戦で、

うまくいっているような感じで番組がスタートしましたが、

実際には上位の戦略、下位の戦略、

そして社員の知恵を引き出すマネジメントが

非常にうまく回っている結果だと思いました。



上位の戦略とは、『どこで戦うか』

つまり戦う市場の選択です。

未来工業の場合、住宅などで使う電気設備資材が主力です。

新築住宅市場は景気の低迷で狭まりつつあるものの

(とは言いながら団塊ジュニア世代がマイホームを欲しくなる年齢です)、

大工さんを相手にする電気設備資材業界はライバル社数は多くありません。

市場シェアの80%を押さえていると言っていました。



『お花畑で戦うか猛獣の檻で戦うか』で考えると、

この市場は、お花畑と砂漠の間にあるオアシスのような市場です。

未来工業のお客さんである住宅販売会社は、

既に猛獣の檻の中かもしれませんが。



次に下位の戦略があります。

『どうやって戦うか』

未来工業の場合、職人さんの使い勝手を徹底的に考えつくすこと。

一般消費者相手の商品であれば、

お客さんの使い勝手を考えることはある意味当たり前ですが、

一度取りつけてしまえばいいだけの電気設備資材では、

取りつけるための使い勝手を徹底的に考えている企業はありませんでした。

(BtoB企業のポイントですね)



きっと職人さんからすると、未来工業の商品を使うと、

作業スピードが速くて正確、安全というようなイメージがあり、

他社よりも多少高かったとしても選択してしまうのでしょう。



ここまでが『どこで、どうやって戦うか』という戦略です。

この二つが間違っている限り、いくら頑張っても会社に利益は残りません。

また、この二つがあっていても、それだけでは実行ができません。

社員の知恵を引き出すマネジメントが必要です。



未来工業の場合、いくら戦略があっていても実際に社員が、

『職人さんの使い勝手を徹底的に考えつくす』ことができなければ、

絵に描いた餅です。



そのために、ケチケチ作戦や、提案制度等、

非常に優れたマネジメントをおこない、

社員の知恵を引き出すことで高収益を上げています。



ケチケチは創業者のスタイルではありますが、

社員の給料は地域相場の1.5倍くらいあるようですから、

社員たちもケチケチの結果が自分たちの給料になっていることを

実感している様子。



ケチケチは本質ではなくマネジメントスタイルの一つとして考えても、

高収益なのは当然です。

こういう番組を見てケチケチだけを取り入れたりしちゃダメですよ。(笑



給料が低いのにケチケチだと、

社員は会社から搾取されているように感じ、

いかに自分が会社から奪うかを考えるようになってしまいます。

利益を上げるためには、上下の戦略が優れ、

マネジメントが優れていること。



【社長が考えるべきこと】

 第一 どこで戦うか(上位の戦略)

 第二 どうやって戦うか(下位の戦略)

 第三 社員の知恵を引き出すマネジメント



【質問】

 第一 あなたの会社はどの戦場で戦っていますか?

 第二 その戦場でどんな武器で戦っていますか?

 第三 社員は戦いに集中できていますか?